全国内航タンカー海運組合の意見


   次世代内航海運懇談会(3月8日)意見

内航タンカー業界の現状と問題点

 1、内航タンカーの現状は、実質4社の巨大石油会社の下に数社の系列オペレーター、その下に数十社の2次3次オペ、その下に数百社のオーナーがいるという完全なピラミッド型の下請け受注体制にある。したがって運賃は、某国会議員の言う代官、庄屋、小作人というパターンで中間搾取されている。

 2、また、石油会社間で物流提携が行われている上に、バーターという石油製品売買の値決めの際に個々の内航運賃が明らかになるので、運賃は自然に業界で最も低い水準に統一され収斂し、しかも硬直化している。

 3、さらに、オペレーターが資本的人的に系列化されているため交渉能力がなく、一方的な荷主の通告により運賃が決定される。さらに、季節的な繁閑、白黒、あるいは船型別の需給、船令の新旧、パフォーマンス等は全く反映せず運賃は年間を通じて固定され、船主は小作人というよりむしろ奴隷的な境遇にある。
 このため、最近船主による決起大会、政治家への陳情、公取への提訴、事故の多発、船員の離職、企業の倒産廃業等のいわば末期的な現象が生じている。

懇談会に対する意見

 1、最も重要問題は「参入規制の緩和」、なかんずくオペ、オーナーの事業区分の廃止と思われるが、これは立場上の利害が異なるので賛否両論併記となっている。
 反対論はすべて過当競争による市場の混乱であるが、法律の改正は何十年に一度という長期的な観点から行われるはずであり、目先の市場を懸念する反対論はあまりにも近視眼的に過ぎると考える。
 また、30年以上前の内航2法の事業区分設定はオペを強化し、荷主との交渉力をつけようという趣旨であったはずだが、現在オペが系列化し、荷主の輸送部門となってその機能を失ったので、事業区分の意味がなくなり、逆に自由競争を阻害する弊害になっている。
 上記の内航タンカー業界の閉塞感を考えると、当面多少の痛みは伴うとしても、長い目で見た業界の自由化、活性化、モラルアップのために参入規制は緩和すべきである。

 2、適正取引ガイドラインの設定について公取は一般的ないわゆる「不利益行為」の有無を問題にしているが、これはいわば枝葉末節であり業界では曲りなりに遵守されているので、これをつついてもあまり意味がない。
 問題は公正取引委員会、及び規制緩和の理念である開放的な市場での「公正かつ自由な競争」に全く正反対な「独占的かつ優越的」な系列取引が横行している現状にある。