全国内航輸送海運組合の意見


   内航海運行政の取り組むべき課題(案)への意見

T、健全かつ自由な事業活動を促す市場環境の整備

全般的な意見
 @ 提示された案は内航海運業界にとり多くの重要な問題が含まれてお
  り、当業界の意見を十分に反映させることが肝要であり、時間をかけ
  て検討すべきである。
 A 参入規制の緩和については、暫定措置事業を円滑に実施し、内航海
  運における環境整備の進展を見たうえで実施することが望ましい。
 B 「健全かつ自由な事業活動を促す市場環境の整備」を強力に推進さ
  せるには参入規制の緩和のみならず、他の規制(連続トリップ、再傭
  船の禁止等)の見直しや緩和も早急に図ることが不可欠である。

各課題について
1、参入規制の緩和
(
1)許可制から登録制へ
 〇暫定措置事業の実施中であり時期尚早である。
(理由)
 @暫定措置事業の円滑な実施に支障をきたす恐れがある。
 A過当競争が激化しオペ・オーナー共に経営に大きな影響を与える。

(2)オペ・オーナー制度の廃止
 〇現状では反対である。
(
理由)
 @過当競争が激化しオペ・オーナー共に経営に大きな影響を与える。
 A現在でもオペレーターへの参入基準は大幅に緩和されている。

2、船舶管理会社に係る制度の整備
 〇この制度が有効に機能するならば反対はしないが、内航海運業法、船
  員職業安定法上の整備が必要である。

3、市場機能の整備
 〇国土交通省(案)の冒頭に「荷主企業を頂点とするピラミッド型の市
  場構造が契約関係の透明性に欠け、意欲ある事業者の積極的な参入の
  障害になっている面も少なくない」との記述があるが、この構造は安
  定輸送と安全輸送サービスを提供し、輸送責任を完遂するために必然
  的に構築された仕組みであり、今後、参入規制の緩和や公正な取引関
  係の構築が明確化されても、この構造が大きく変わることはないと考
  える。

(
1)運送約款に係る規制について
 〇業者間の取引が主体であり、海運集会所の諸書式の活用で充分と考え
  る。

(
2)適正取引ガイドラインの整備
 〇事業者が自己責任の下に取引すべきであると考える。

(
3)適正船腹量設定の廃止
 〇業界の指針となるものであり、存続すべきである。

(
4)最高限度量設定の廃止
 〇セーフティネットとして制度は存続すべきである。

(
5)標準運賃・標準用船料規制(設定・告示・勧告)の廃止。
 〇セーフティネットとして制度は存続すべきである。

4、適切な情報の開示
 ◇事業活動に関する報告の義務化、変更命令制度の整備
 〇行政が個々の事業者間取引に介入するのは好ましくない。

5、輸送の安全確保
 ◇船舶管理規程の届出・変更命令制度の整備
 〇安全輸送は運送事業者の使命であり、運送事業者の責任の下に行うべ
  きである。
 〇航行の安全、油濁事故防止の観点から国による一定の規制は必要と考
  えるが、事業者にとって過重な負担とならないようにすべきである。

U、より効率的で安全かつ環境に優しい輸送サービスの構築

 〇船員・船舶にかかる規制は、船舶性能の向上、航機両用教育等との現
  状を踏まえ、規制緩和の観点から見直しを要望する。
 〇また港湾管理、港湾整備についても輸送の合理化、モーダルシフト、
  静脈物流等促進の観点から輸送ニーズへの対応、輸送コストの低減等
  に資する施策を要望する。
 〇なお、具体的な事項については内航海運業界の意見を充分に取り入れ
  て実施願いたい。